中間英明 2019.6.7『Point of No Return』発売 30th Anniversary Live によせて 中間君、「ポイント」リリース30th、おめでとうございます! レコーディング・エンジニアの高山です。 もう30年たちましたか!僕たちも随分長く付き合っていますね。
思えば最初のバンド、ハリースキュアリーも自分のいたStudioでMixしていました。それには参加できませんでしたが実はニアミスしていたのですね!
そして、このAlbumのレコーディングで初めて会いましたが、最初のセッションからフルスロットルでしたね!!ぶっ飛びましたよ! リズムはONKIO HAUS 2stで同時録音、ほぼ数テイクでOK録ってきました。
キャストも超豪華でした。サウンド・プロデュースに四人囃子の森園勝敏さん、ドラム・44マグナムの宮脇Joeさん、Bass・Voはナスカの坂井紀雄さん、その後音楽プロデユーサ ーとして大活躍されていますね。 鍵盤は大阪のジョン・ロードこと小川文明さん。 小川さんは、ベーシック録音はオルガンでしたが、シンセダビングでもものすごくたくさ んのアイディアと音色を提供してくれました。そしてMoogでのsoloも絶品でした。 タイトル曲「POINT OF NO RETURN」でのイントロのフレーズ、エンディングFO時のポリリズムのフレーズも小川さんのアイディア。また中間部のGtrとシンセ群による壮大な オーケストラパートも見事でした。
ストリングスアレンジは斉藤ネコさん。広い1stで、ものすごく大編成の弦楽器(多分86442 とか)と物怖じせずAGtrで同時録音やりましたよね、大したものです。 その他、当時最先端だったフェアライトを屈指して打ち込み系を担当してくださった方達。
忘れていけないのは、そのすべてのキャスティングをお膳立てしてくれた、(当時)BMGビクターのA&R 吉澤博美さんですね。影の立役者だったかもしれません。 また所々でサウンドアドバイスを頂いたロックステリア(現マーベリック・ディー・シー代表)の大石征裕さんも豪華キャストのお一人です。
レコーディングというものは、あまり多くの人が絡んでくると、なかなかまとまりがなくなっていくものですが、この時は中間くんの超怒パワーというか突出した才能で見事に録音は進んで行った気がします。
そして最大の山場はGtr-soloのダビングでしたよね。ダビング、ダビング、ダビング、あれはまさに、鬼気迫る濃縮された時間でした。中間君のアイディアは出るは出るは、、、。 テープを出せば出すほど毎回違ったフレーズを違ったアプローチで、どれでもアリでしたが、御本人は明確に?!かわかりませんがやりたいことが見えていたのでしょう!! 本人のジャッジが全てでした。
ちょっと思い出すだけでも、「SMILING LANDSCAPE」ではカウントのクリックが一つ鳴るだけでGtrを弾き初め、そのままノンストップで弾きまくり。 曲が終わってもずっとメロディを弾き続けていました!この曲はFOされてしまいますが、ずっと続いているのですよ、Gtrメロは(笑) 何テイクか違うアプローチで録っていますが、全てのテイクが通しの1テイクOKです。 CD上のOKテイクもパンチインなしの通しテイクです。
まあやりたい放題ですわ!Gtrダビングは(笑)自分を含め、若造二人をやりたいようにや らせてくれた森園プロデューサーのふところの深さにも今から思えば大感謝です。
レコーディング話はたくさんあるのですが、この時はデジタルとアナログが同居していた過渡期で、デジタルの24トラック・レコーダーとアナログの24トラック・レコーダーを同期して仮想48トラックで録音しています。それでもトラックのやりくりには苦労した記憶 がありますね。 トラックダウン先(マスターテープ)は、Sonyの1630デジタルプロセッサーと3/4Uマチック。マスタリングもデジタル編集機で。当時は選択肢が限られている中、アナログEQやデ ジタルコンプを行ったり来たりしていました。
中間君のマーシャルもお昼前に電源を入れるのですが、午後一はまだちょっと硬い感じ、 だんだんこなれてきて夕方以降マーシャル独特の甘さと艶、歪が出てきます。そして夜中の0時過ぎると歪がわれてきて(割れる・壊れる)、その日はお開きとなるパターンでした。
このアルバムの後も、[エメラルド・フォレスト]でもレコーディングしましたし、一緒に くっついてPAもやりました。NHKの番組も出ましたね。 アメリカに単身渡り参加した[ヘレンバック]も、一時帰国したときに向こうで録音したDEMOを一緒に編集したり、Gtrのダビングをしたりしましたよね。
惜しむらくは、その後「ポイント」に続く名盤を出せなかったことは、自分の中でもやり残している感じです。特に当時はいろんな人がいろんな思惑で(笑)絡まないとなかなかCD は出せない時代でしたからね。
幸い現在も第一線のギタリストとしてご活躍されているわけですから、また作品としてアウトプットできる機会が来ることを切に望んでいます! !現在のテクノロジーは録音に対してそれほど敷居は高くないので、そういう機会があったら是非協力させて下さいね!
雑文、失礼致しました。
Recording enginner 高山欣也 |